角田光代さんのエッセイ
『愛してるいうわけないだろう』の中に
素敵な文章が他にもありました。
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小さきものに神は宿ると習ってきた。
道端に咲く野の花にも、すれちがう子供にも
前に立った老人にも神は宿っている。
私はその言葉が好きだ。
キリスト教を習っていた時は、感謝感謝感謝が回りにあふれ、私はその言葉が大嫌いだった。
悲しいことがあっても試練に感謝。
まぁまぁの物をもらっても、これで充分と感謝。愛する人に、憎む人に同量の感謝。
私は嬉しい事にしか、感謝ができなかった。そうなると、大抵のことでは感謝できなくなってくる。
イライラしてくると、小さな幸せがまるで拾えない。
例えこの人が、私のことを好きにならなくても、例え1年後にはこの人が近くにいなくても、この今はどうしようもなく幸せ者だと感じる事が確かにできる。
そして、そんな事を幸せと感じられる自分に安心する。
こんな事は、生きてくうちに何度だってあるだろう。
小さきものに幸せは宿る
大事な私の格言である。