養老孟司さんの対談本です。
瀬戸内寂聴さんとの対談で、人間の「心」はどこにあるかの話になりました。
《瀬戸内》
心ってどこにあるのか、前から思ってたんです。頭かな、胸かな、それとも細胞全部にあるのかなって。
《養老》
いや、全身ですよね、それは。
《瀬戸内》
やっぱり。私もそうじゃないかと思っていたの。人に聞かれたら答えようがない、わけのわからないものでしょう、心って。
《養老》
「心」というのは、色んなものを含んでいるんです。
「脳」という言葉は古くは歌の本からきていて、歌のエッセンス、中心という意味です。
わかりやすくいうと、「心」というのは「脳の働き」を指しているんです。
どうやって働くかというと、五感から入力された情報が、神経を媒介し脳に伝わり
考えたり、話したり、ある表情を浮かべたりという反応として出力される。
そういう働き方全体を「心」と言うんだと思うのです。