12才で終戦を北朝鮮でむかえた五木寛之さん。沢山の理不尽な『死』をみた体験から、現在の病や死について書かれた本。
どのページも奥深く、考えさせられる一冊です。
北朝鮮から引き揚げて間もない頃、日々の生活がもの凄く苦しかった。その重みに耐えかねて「無理して生き続ける必要もないかな」と自殺を考えた。
二度目は弟さんが42才で急逝したとき。気持ちが沈み、自殺も考えた。思いとどまったのは「頑張って生きていこう」と前向きな理由があったからではない。ここで死を選ぶのは、贅沢で甘えなんじゃないかと思えたから。
ロシア作家のゴーリキー。こんな言葉を残してます。
『人生とはひどいものだ。残酷で愚かしい。だからといって、それを自分から放棄するほどひどくない』
五木寛之さんは、生きていくのは辛い。死んでしまいたくなることもある。でも、自分で退場するほど酷くないのではないかと綴ってます。